熊西地域振興財団、助成先団体の活動報告


 

一般社団法人タウンスペースWAKWAK

「生活困窮をはじめ様々な課題を持つ子どもたちと親への支援事業」
「ただいま〜と言える子どもの居場所」という関係性ができてきた

これまで生活困窮や発達障がいから学校や家庭で孤立しがちな子どもたちに学習支援をつうじ安心できる居場所づくりを行ってきました。熊西地域振興財団からの助成により、学習支援だけでなく「こども食堂」の取り組みを開始することができました。
「家族で鍋をつつく」という経験の少ない子どもたちと毎週水曜日のこども食堂を行う中で、教育関係者のOB・OGや民生委員、ボランティアが作る栄養満点の食事を一緒に食べることを通じて、孤立する家庭を支援することのみならず、こどもたちが安心して地域社会の中で生きていく力を育むことにも繋がっていると感じます。

「今日、お父さんお母さん帰ってくるの遅いねん」というつぶやきから日頃の夕食は1人やもしくは兄弟姉妹で食べているという状況や、家庭状況の緊急な変化の中から支援体制を構築し次の日には関係機関での連携を進め、サポートできる体制を整えました。「こども食堂」の事業を通じてより深くこどもと関係が構築できているのだと実感したとともに、「学習支援」と「こども食堂」の両輪で、長期的な視点を持ちながら子どもの成長を地域全体で見て行くことができることに、私たち自身も期待しています。

 

Mamas’ Wind Orchestra Largo

「10周年記念コンサート」
お客さん参加型で、赤ちゃんからシニアまでが楽しいコンサート

熊西地域振興財団からの助成で開催した「10周年コンサート」には、普段音楽会に連れていけないと感じている親子をはじめ661名が参加してくださいました。地域に根ざす活動として、子育て世代はもちろん、音楽会は敷居が高いと感じる人、チケット購入が難しい人に音楽の楽しみを知ってもらう活動として10年継続してきた集大成として開催しました。

当日は、ご家族での演奏、ダンス、会場から参加者を募って指揮者の体験をするなど、来場者にも参加してもらいました。お子さんを連れてこられた方の98%が「こどもが大変楽しそう、または楽しそうだった」と回答してくだった他、子どもも飽きることなく最後まで楽しめたという感想も寄せていただきました。

さらに、昔吹奏楽やオーケストラで演奏された方からは、その頃を思い出し楽しい時間だったという声も届けていただきました。

このコンサートを機会に、「うちの学校でも演奏してほしい」「〇〇地区にもきてほしい」という声もいただき、Largoの活動を知ってもらうこともできたことは今後の活動にも繋がります。

 

高槻精神障害者スポーツクラブWEARE

「精神障害者の地域型スポーツクラブの活動」
スポーツを通じて体力がつき、体調も安定し、仕事に復帰することができた

精神障害者を対象とした競技スポーツの実践と普及、精神障害者への理解の促進を13年行っています。当事者である選手たちが自ら広報やファンドレイジング活動を行っていることは当団体の特徴の一つです。

フットサルとバレーボールクラブでは、大阪府大会、関西大会で優勝することができ、全国障害者スポーツ大会に近畿ブロック代表として出場することができました。フットサル部門では、新たに発達障害・知的障害児を対象としたフットサルスクールもスタートしています。バレーボール部門では、名古屋市のチーム・地域の高校生を交えた合同合宿を行った他、高槻市長への表敬訪問、保健所セミナーでの講演など地域社会と連携した活動を行うことができました。

選手からは「全国大会に出場することができて本当に嬉しかった。もらったメダルは一生の宝物にしたい。」「やれるだけのことはやった。結果に悔いはない。」「来年のイタリア遠征の代表選手に選ばれたい。日々練習に励んでいる」「イタリアには行けないと思うが、募金活動を頑張りたい。」「病状が安定し、仕事に復帰することができた」というシーズンを振り返った感想をもらっています。今後も、当事者主体の活動を継続していきます。

 

認定NPO法人D×P

「公立の定時制高校に届ける!授業「クレシェンド」と活動展開に向けたスタッフ育成」
「人に自分のことを話していいと思うか」7%から48%に変化

不登校経験、経済的困窮、障がい、家庭事情、LGBTなど様々な理由から失われてしまった「人とのつながり」をつくることで、定時制高校の生徒が自分の将来を前向きに考えられるようになることを目的として独自プログラム「クレシェンド」を実施しました。

1年生を対象としたアンケートでは1回目の授業後「人に自分のことを話してもいいと思うか」という問いに対して「強くそう思う」が7%だったのに対し、4回目の授業後は48%となり、「失敗してもいいと思うか」という設問に対しては「強くそう思う」が18%から50%に変化し、人を信頼するハードルが下がり、自分の行動に前向きに考えられるようになったことがわかりました。さらに、「クレシェンド」の実施を通してご信頼いただける学校も増え、学内での進路相談室を週1回開催できるようにもなりました。

また、「クレシェンド」の質をあげながら最大の効果を出すための業務改善や育成にも取り組みました。フローチャート作りなどの業務改善のほか、新スタッフ向けの研修などの育成体制作り、スタッフ間の連携が取りやすいように内部での助け合える仕組みづくりを行っています。まだ改善点は多く、事業の質の向上、スタッフ育成の体制強化をしていかなければいけませんが、全国からびっくりされるようなモデルケースとなれるよう、成長していきます。

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